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【書評】交雑する人類-古代DNAが解き明かす新サピエンス史

書評
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クロマニヨン人はネアンデルタール人から進化し、現生人類となった。

少なくとも30代以上の方は上のような画像が教科書に載っており、そのように習ったはず。

ところが、ヒトゲノム計画により人類のゲノム解読が完成し、これが覆りました。そう、我々人類はネアンデルタール人とは別種の存在だったのです。

・・・と、今から10年以上前に言われるようになりました。

が、しかしこれさえも最近の研究で覆ることになったのです。

そう、我々人類はネアンデルタール人と交雑していたのです。

サピエンス史の最新の知見が得られるスゴ本

このように、サピエンス史はDNA解析により日々最新の情報が更新され続けています。そのような中にあって本書は現時点(2017年)で最新の知見が得られるスゴ本です。

サピエンス史が好きな方にとっては必読書でしょう。

ちなみに著者はデイヴィッド・ライク氏、ハーバード大学医学大学院遺伝学教授。この分野の重鎮らしいです。

アジア人はヨーロッパ人よりもネアンデルタール人の血が濃い

ネアンデルタール人の遺骨が多く発見されるのはヨーロッパ。また、最終的にネアンデルタール人が絶滅したのもヨーロッパと言われています。

とすれば、ヨーロッパ人の方がアジア人よりもネアンデルタール人のDNAをより多く受け継いでいそうですよね。

ところが、これが全くの逆。

むしろアジア人の方がネアンデルタール人のDNAをより多く持っているそうです。

さらにネアンデルタール人とも現生人類とも別の種であるデニソワ人も、ヨーロッパ人にはその痕跡がなく、アジア人のDNAに刻まれているのです。

もっと不思議なのは、そのデニソワ人の遺骨はロシアで発掘されたにもかかわらず、全人類の中でニューギニア人が最もそのDNAを持っているのです。

このように我々人類と近縁種は、かなりの距離を移動し頻繁に交雑を繰り返していたとしか考えられませんよね。

アメリカ先住民はアジア人よりもヨーロッパ人に近い!?

アメリカ先住民、いわゆるインディオはアジア人よりもヨーロッパ人との遺伝的距離が近いそうです。

そんな馬鹿な。アメリカ先住民はアジア人の一部がベーリング海峡を渡りアメリカに移住したのではないのか?

それ自体は事実なのです。

だとしたら、アメリカに移住した後、コロンブスがアメリカ大陸を「発見」する前にヨーロッパ人が移住していて、アメリカで交雑をしたのではないのか?と考える人もいると思います。

しかし、これは不正解。

正解は古代北ユーラシア人という、今は消えて無くなったゴースト集団と交雑をしていたのです。

古代北ユーラシア人は15,000年より以前に今のロシアに存在しており、その一部がベーリング海峡を渡り、そこでアメリカ先住民と交雑に行っていたのです。

また、一部の古代北ユーラシア人は西へ移住して、ヨーロッパ人のDNAに寄与したのです。

そして古代北ユーラシア人は、各人種の中に溶け込んで消えてしまったのでゴースト集団と呼ばれるのです。

ちなみに古代北ユーラシア人は、現世アジア人や現世ヨーロッパ人とは違う、独立した人種だったそうです。

このような事がDNA解析により判明してしまうのです。

我々は雑多だが人種による違いもある

以上にように我々人類は想像以上に頻繁に交雑を繰り返しており、現代の集団が1万年前に同じ場所に住んでいた集団の子孫だけで出来ているとは限りません(ヨーロッパ人に至ってはわずか4,500年前に中央アジアから移住して来た人の遺伝子がほとんど)。

だとしたら、人種による違いなんて全く無いのではないか?という論説もまま見受けられます(過去の人種差別主義への嫌悪もあるのでしょう)。

しかし、これには著者は明確に「ノー」と言っています。

例えばアフリカ系アメリカ人は白色系アメリカ人に比べて、前立腺がんの発症率が1.7倍にもなります。これは食生活などの違いを考慮しても考えられないぐらいの差であり、明確な集団による遺伝的特性の違いあるのです。むしろ、この事を事実として把握すれば、前立腺がんを引き起こすと考えられる遺伝子を特定することが出来ます。

また、一方で著者はステレオタイプな人種による差異についても「ノー」と言っています。

例えばアシュケナージ系ユダヤ人の平均的知能指数が際立って高い理由は、1,000年に渡って読み書きを必要とする金貸し業に従事したことによる自然選択であるとか、同様にアシュケナージ系ユダヤ人にテイーサックス病やゴーシェ病が多い理由は、病気の原因が脳細胞への脂質の蓄積に影響する変異であることから知能に関係する遺伝子変異に寄与した、などの言説です。

アシュケナージ系ユダヤ人は中世に人口ボトルネックを経験しており、そのときたまたまこの変異を持っていた少数の人が、後に多くの子孫を残すことになっただけだという明確な証拠があるそうです。

まとめ

この本を読めば、まさに「人類は皆兄弟」であることが分かります。しかし、それと同様に集団間による差異があるのも事実。

ただし、大事なことは集団間の差異よりも、同じ集団の中の個人個人の差異の方がずっと大きいことです。

どちらも事実であることを認めないと、エセ科学につけ入る隙きを与えてしまうことになります。

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