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【書評】犬の力-アメリカの麻薬取締官とメキシコ麻薬カルテルとの壮絶な麻薬戦争ー

罌粟(けし)の畑が燃える。

赤い花弁、赤い炎。

地獄でしか、花は火を咲かせない。

犬の力(上巻)―ドン・ウィンズロウ著

大学時代、恩師に「就職試験のコツは、面接本を読まないことだ」と言われて、実際に面接本を読まずに、就職氷河期の時代に一発で合格したぴょんきち大佐です。

以来、その道への近道は、その道のマニュアル本を読むことではなく、教養を豊かにする本をより多く読むことである、と信じて疑いません。

なので、今日も私は投資本でなく、小説を読んでいるのであります。

閑話休題。

今日は書評です。

犬の力

紹介する本は、ドン・ウィンズロウ著「犬の力」です。

アメリカのDEA(麻薬捜査局)捜査官の主人公と、メキシコの麻薬カルテルのボスとの、30年(1975-2004)にも渡る血で血を洗う抗争を描く犯罪ノベルです。

いや、犯罪なんて軽々しいものではなく、もはや戦争と言っても過言ではありません。

また、読んで驚かされるのは、メキシコの腐敗しきった状況です。

麻薬カルテルと政界との腐りきった繋がりや、上流階級から下層階級まで、陰に陽に麻薬カルテルの恩恵にどっぷりと浸っています。

そして、南米の共産主義化を止めるべく、アメリカが率先して麻薬カルテルへ武器を供与するなど、かつてイラクで行ったことと同じ過ちを繰り返します。

極めつけは、アメリカが麻薬取り締まりをキツくすればするほど、麻薬価格が高騰し、麻薬カルテルが潤うという、絶望的な経済原理です。

主人公もそのことに気が付いており、自分のやっていることが麻薬の撲滅に結びつかないことを自覚しています。

主人公を動かす動機は、復讐と自尊心を保つこと。今までやってきたことをここで諦めると、自分の人生の意味が無くなってしまうのです。

その他にも、重要なキーパーソンである高級コールガールや、アメリカのアイルランド系殺し屋やイタリア系マフィアなど、魅力的なキャラが登場します。

話しが面白く、あっという間に読んでしまうこと、請け合いです。

そして、登場人物の誰もが等しく救われないことに絶望できます。

ここまで骨太なクライムノベルに出会えることはそうそうありません。

ぜひご一読を。

※犬の力の続編も出ています。犬の力で描いた30年よりも、現在のメキシコの方が、状況は遥かに悪化しています(なぜトランプが国境に壁を作ろうとしているのかが理解できます)。

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