スポンサーリンク

【書評】ペリー提督日本遠征記ーこれを読まずして日本の夜明けは語れないー

ペリー提督と言えば、日本に開国をせまり鎖国を終わらせた人物として有名です。

歴史の教科書にも、そのような内容で数行記述されています。

しかし、たった数行でこの歴史的事実を語るのは実に乱暴な話しです。

本書は、日本との開国の交渉の全過程のみならず、アメリカを出発し世界各国を訪問した内容を、アメリカの歴史家による極めて公平な視点で書かれた非常に貴重な歴史書です。

これを読まずして日本の夜明けは語れません。

日本に対する知識は事前に相当リサーチしていた

本書を読むと、ペリー提督率いる遠征隊は事前に日本に対するかなり正確な知識をリサーチしていたことが理解できます。

あの当時のことなので、西欧万能というか差別的な考えも見え隠れしますが、それでも公平に日本という国を分析しています。

ヨーロッパ諸国は、日本との開国交渉にことごとく失敗していますが、アメリカはそれら一連の交渉が「お上品」に進められて失敗したことを理解していたため、その轍を踏まないためにも武力をチラつかせながら、厳然たる態度を持って交渉に臨んでいます。

ひたすらたらい回しにする日本

厳然たる態度を持って交渉に臨んだペリー提督ですが、実際の交渉に当っては日本の役人にひたすらたらい回しにされます。

曰く、責任者がいないからとか、親書をしかるべき人物に渡して返答するまでに何日かかりますとか。

その都度ペリー提督は、大砲ぶっこむぞゴラァ!!と言いつつも相当な自制心を持って交渉に当っています。

何だか今の日本の大企業や役所の対応とあまり変わらない、決められない日本がそこにはあります。

聡明で博識な日本の役人

鎖国とは言いながら、オランダとの付き合いはありましたし、その当時の日本の知識人の世界に対する認識はかなり深かったことが記述されています。

これら日本の高官たちは、紳士らしい泰然とした物腰と高い教養を物語る洗練された容儀を崩さなかったが、つとめて社交的にふるまい、気さくに会話を交わした。

(中略)

オランダ語、中国語、日本語に堪能で、科学の一般原理や世界地理の諸事実にも無知ではなかった。

地球儀を前において、合衆国の地図に注意を促すと、すぐさまワシントンとニューヨークに指を置いた。

(中略)

また、地峡を横断する運河はもう完成したのかともたずねたが、これはおそらく建設中のパナマ鉄道を示唆してたのだろう。

(中略)

たとえ日本人自身は、実用的科学の面で遅れているにしても、彼らの中で最も教養のある人々は、文明国、というよりは文化の進んだ国々における科学の進歩について、かなりの情報を得ていることは間違いない。

また、蒸気機関に対する知識もあり、すぐさまその原理を理解していました。

そして、知識人はもとより日本の庶民についても観察しており、老若男女を問わず本を読むことに感銘を受け、日本人全体の教育水準が高いことに驚いています。

挿絵が豊富で庶民の生活もつぶさに観察できる

本書は挿絵が豊富に掲載されています。

貴賎を問わず多くの日本人が写し出され、日本の美しい風景も多数収められており、これを見るだけでも本書を読むに値します。

また、特に箱館に寄港した際には日本の庶民との触れ合いを通して、彼らの生活の様子や考え方について偏見なくつぶさに観察しています。

日本が発展したのは必然だ

日本の近代化がなぜ成功したのか?という議論においては、ことさらペリー提督による開国後というか、明治維新後に焦点を合わせていることが多いです。

しかし、本書を読めば江戸時代にあっても、近代化の素地が広く日本に行き渡っていたことが理解できます。

また、ペリー提督と日本の役人との粘り強い交渉には感動すら覚えます。

一般的慣習が違い、そもそも国際法自体が通用しない時代において、お互いの国同士の信頼感を形作り、最終的な着地点に持っていく様子は必見です。

知識欲を満たしたい方には必読の書ですよ。

Go For Broke!

スポンサーリンク

フォローする