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【書評】遺伝子ー親密なる人類史 ピューリッツァー賞作家渾身の一作

書評
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著者はインド出身の医者、シッダールタ・ムカジー(1970年~)。腫瘍内科の専門医であり、現在はコロンビア大学の医学部助教授を勤めております。

シッダールタ氏は、前作「がんー4000年の歴史」でピューリッツァー賞を受賞しており、いまやノンフィクション界きっての売れっ子作家と言っても過言ではないでしょう。

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そのシッダールタ氏、今回は遺伝子と人類との歴史を600ページもの大作として描いており、今作も前作に負けずとも劣らない大変面白い内容となっています。

ちなみに、タイトルが誤解を生みそうなので補足しますと、本書は遺伝子の歴史ではなく、人類が遺伝子をどのように認識し、それをどのように利用しようとしたのか、そして今どのように利用しているのか、その歴史を追いかける内容となっています。

著者の親類に多い精神疾患者

シッダールタ氏が、なぜこのような本を書こうとしたのか?その答えは本書の冒頭に登場します。

著者の親類には、統合失調症や双極性障害を患う人が多く、代々その傾向が続いています。

つまり、著者自身そのような精神疾患を発症するリスクが他の人々よりもずっと高いことを感じているのだと思います。

これは、著者が遺伝子というものを深く理解しているからこその危機感でしょうが、仮に遺伝子の存在が分からずとも、多くの人は直感でその原因が「家系」にあることは容易に想像出来るはずです。

このことから、昔から人類は理由は分からず、存在するかも確信は持てないが「遺伝子的な何か」が自分たちの身体に組み込まれていることは理解していました。

本書を読むと、その遺伝子的な何かについて古代から人類は色々と考察していることが分かります。

転換点はダーウィンとメンデル 危険な優生学へ

さて、人類の遺伝子との歴史にとって大きな転換点となったのが、ダーウィンによる進化論とメンデルによるエンドウ豆を用いた遺伝の法則の発見でした。

しかし、この時点では遺伝子が実在する、つまり物質なのか、あるいはそれ以外の何物なのかが全く分かっていませんでした。ただなんとなく、優性遺伝子と劣勢遺伝子のようなものがあり、それが親から子へと遺伝する(のではないか???)、という極めていい加減な認識だったのが実態です。

ところが・・・

このような不確かな認識が、優生学としてヨーロッパやアメリカで蔓延するようになり、「優れた遺伝子」を人為的に選択し残していこうという流れに変化していきます。

例えばアメリカでは、魯鈍(実際には魯鈍でもなんでも無かった)と判定された女性が不妊手術を強制的に受けさせられるなど、とんでもないことが堂々と行なわれるようになります。

そして、それが最終的にはナチスによる「民族浄化」へと繋がっていくことになります。

出生前診断は優生学なのか・・・

以上の歴史から、第二次大戦後は優生学そのものがタブー化され、科学者自身も遺伝子の研究にあたっては十分に注意するようになります。

このように多少なりとも健全化された遺伝学が、最終的にはヒトゲノム計画の完了にまで漕ぎつけることになります。

ヒトゲノム計画の完了により、様々な疾患の遺伝子が同定されるようになり、今日では自分の遺伝子を解析し、どのような疾患に罹りやすいかを解析してくれるサービスまで登場しています。

そして、現在では出生前診断による胎児の染色体異常までもが検査出来るようになり、日本においても多くの人がそれを利用しています。

これは危険な優生学なのでしょうか?それとも人類の明るい未来を切り開く健全な優生学なのでしょうか?それとも優生学ではないのでしょうか?

私はこの問いに対する明確な答えを持っていません。

しかし、遺伝子は突然変異を起こすことによって生物の多様化を促進してきました。

私達人類の皮膚の色、身長や体重、知能や身体能力の「違い」には、何らかの意味があるのでしょう。

そして、染色体異常や生来の疾患を抱える人にも。

Go For Broke!

下記は著者の前作。こちらも是非ともご一読を。

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