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【書評】レッド・プラトーン 14時間の死闘ーアフガニスタンで全滅寸前に陥った兵士達の戦闘記録ー

本書は2009年にアフガニスタンの山岳地帯で、タリバーン戦士300人によって全滅寸前にまで追い詰められた米国陸軍兵士50人の戦闘を一個人の下士官が記録したものです。

その下士官とはクリントン・ロメシャ二等軍曹(階級は当時)。所属は第4歩兵師団第4旅団戦闘団第61騎兵連隊第3偵察大隊B中隊(通称ブラックナイト中隊)、レッド小隊のセクションリーダーです。

本書はノンフィクションながらも小説のように面白く、現代の戦争がどのように行われているのかがよく分かる良書です。

分かりやすい言葉で表現するのなら、映画「プライベートライアン」を文章にしたような内容で、リアルな戦場の様子が率直に描かれています。

脆弱なキーティング 練度の高いタリバーン戦士 逃散する友軍 

著者の所属するブラックナイト中隊は、標高3,000mを超える山々と二つの河川に挟まれた、戦闘前哨(COP)キーティングと呼ばれる最前線の基地の防衛の任に当たっていました。

また、友軍としてアフガニスタン国軍及びアフガニスタン治安警備隊も参加していました。

出来るだけ高地に陣地を布陣するのが古来からの定石。それが上記のとおり、全くの逆になっており、攻撃する側にしてみればキーティングが丸見えの状態。

素人目にも、このキーティングの脆弱性は明らかで、その当時もその脆弱性からキーティングの撤退に向けて準備を進めている最中でした。特にキーティングに物資を運ぶ唯一の手段と言っていいヘリコプター降着場所(ランディングゾーン)は、キーティングと川を挟んだ向こう岸にあるという、どうにもならない弱点を抱えていました。

また、タリバーン側の用意は周到かつ綿密で、以前からブラックナイト中隊との小競り合いを散発的に行い、キーティングの弱点を充分に把握した上での一斉攻撃に踏み切っています。

その攻撃も、自動小銃はもちろんのこと、RPG、米軍の攻撃用ヘリコプターをも撃墜できる機関銃を配置。どう考えてもただのゲリラなどではなく、よく訓練された正規兵でした。そのタリバーン戦士が、キーティングを見下ろす山々の稜線に沿って火器を配備し、上官の命令一下適切な火線を維持。

さらにその上、以前から士気が上がらずだらけ切っていたアフガニスタン国軍及びアフガニスタン治安警備隊は、一斉攻撃が始まった途端に戦意を失い逃散。しかも、友軍担当の側面はキーティング内の地面にトンネルが空いており、簡単に外側から人が入れるような信じられない状態。

と、考えうる最悪の条件が全て重なった状態での戦闘です。

現代の戦闘は極めて高度化されている

本書を読むと気付くのですが、異常な状況にありつつも個々人の兵士がいつどこで何をやっていたのかが克明に記されています。そして、誰がいつどこで死んだのかも。

これは、戦闘の詳報がリアルタイムで記録されているからこそ、可能になったことが分かります。

どういうことか?

戦争映画などをみると、小隊長や中隊長は先陣を切って戦闘に参加し、部下を鼓舞しているイメージが持たれます。陣地内にこもって作戦を練るのはもっと上の編成単位でしょう。

ところが、キーティングの防衛責任者であるバンダーマン中尉(本来の役割は小隊長だが、当時中隊長が不在のため代役)は戦闘指揮所でパソコンに向いながら、個々の兵士をどこに配置させるのかを決定し、戦闘の趨勢をリアルタイムで本部へ送信。これがログとして残っているのです。

また、近接航空支援も個々人の兵士がどこにいるかを全て掌握した上で、巻き込まれないギリギリのラインで要請。航空管制も航空機同士が接触を起こさないよう複雑な連携を行っています。

そして、個々人の兵士の火力も凄まじく、一人で防衛出来る範囲が昔とは比較にならないぐらい広くなっています。

これを知ると、現代の戦争では歩兵ですら高度な専門知識が必要であり、徴兵で事が足りる「古き良き時代」の戦争が全く通用しないことが分かります。

パクス・アメリカーナはこれからも続く・・・はず

以上本書の内容を簡単に紹介しました。

本書を読むと、現代の戦争は想像以上にハイテクであると感じますが、一方でキーティング内のややこじれた人間関係や、クソを詰めたドラム缶のようなものに火をつけると言った昔ながらの情景も映し出されており、ハイテクとローテクのコントラストが描き出されています。

最後に。

第二次大戦後も継続して戦争を続けている大国はアメリカしかありません。これからもアメリカは実戦に富んだ強大な軍事力を背景にパクス・アメリカーナを維持し続ける・・・はずです。

Go For Broke!

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