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【書評】株式投資(第4版)ジェレミー・シーゲル著~赤本よりもこちらをおすすめします~

書評
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米国株投資界隈の必読書と言えば、通称赤本と呼ばれる「株式投資の未来(ジェレミー・シーゲル著)」です。

赤本は、何を基準にどの銘柄を購入すれば良いのか、といういわゆるハウツー本に近い内容です。強い具体性を帯びているので、良書として取り上げられるのではないかと思います。

それに対して、通称緑本と呼ばれる「株式投資(第4版)」は、株式投資の本質とは何か、というより原則論的な内容となっています。

したがって、「株式投資(第4版)」は、これを読めば何の銘柄を買えば良いのかが分かる、というものではありません。

しかし、知識というものは、本来このような原則論を頭に叩き込んだ上で、自分なりにそれを消化し、肉付けするものであり、その観点からは、私は「株式投資の未来」よりも「株式投資(第4版)」の方が優れた投資本であると思います。

本稿はドル建てで論じており、為替の影響については無視しています。

第1章、第2章を繰り返し読もう

本書は全21章で構成されており全400ページものボリュームを誇っていますが、重要なのは

  • 第1章 1802年以降の株式、債券の投資利回り
  • 第2章 リスク、リターン、資産配分

の2つの章です。

この2つの章で36ページです。それほどのボリュームでは無いので、とにかくこの2つの章を繰り返し読みましょう。

第1章 1802年以降の株式、債券の投資利回り

第1章では、米国を中心に過去200年の長期の株式投資と債券投資の利回りを分析しています。

当然のことながら、長期投資を前提とした場合、債券投資よりも株式投資に分があります。お馴染みの図もここで登場します(下図)。

皆さんも、この図は飽きるほど見ていると思います。したがって、ここでは債券に注目をしてみましょう。

下の図は米国債の金利の推移を表しています。

昨今は低金利がずっと続いており、なんだか様子がおかしいと感じている人もいると思いますが、過去200年間のデータを見る限り、1970年から1990年ごろまでの高金利状態が異常であることが分かります。

それと連動する形で1971年を境に、米国と英国が急激なインフレに悩まされたことも分かります。

この原因は、金本位制から現在の管理通貨制に移行したことによるものです。だからといって、金本位制の方が優れた制度であるわけではありません。

シーゲル博士は本書で次のとおり述べています。

金本位制が廃止されたのは、1930年代に銀行破綻が相次いだことからもわかるように、経済危機に対して硬直的だったためだ。管理通貨制は正しく適用されれば、過去20年に見てきたように、インフレをかなり低い水準に抑えられるし、金本位制下では不可能だった銀行危機や深刻な不況を防ぐことができる。

しかし、これは逆を言えば、管理通貨制は意図的に不適切に適用すれば、政府(中央銀行)はいくらでも人為的にインフレの状態を作りだすことが出来るように読み取れますね。

話しを株式に戻します。

ここで、過去200年間の期間ごとの株式投資(米国)の利回りを見てみましょう。

上図の網掛けの部分に着目します。

株式投資は過去200年間で年率6.8%の実質トータルリターンをもたらしています。

しかし、さきほど述べたとおり1970年代の急激なインフレは、株式にも影響を与えていることが分かります。

それがこの図の下から三番目、1966-1981のマイナス0.4%というパフォーマンスです。

ここで重要なことは、一人の人間の常識的な投資期間である約20年という時間では、トータルリターンが年率6.8%に収束しないことです。

株式の実質トータルリターンが、1960年代後半や1990年代のように、トレンドラインを大きく上回っているときには、平均への回帰の力がいずれはトータルリターンを押し下げることになるので、調整が起こるリスクがある。同様に、1980年代はじめのように、トレンドラインの水準を割り込んだ場合には、将来の利回りが上昇することを意味する。

もちろん、これとてもバックミラーに他ならず、今後も平均への回帰が必ず起こることを保障してはいません。あくまでも過去はそうだった、ということです。

それでは、株式と同じように、債券の過去200年間の期間ごとの利回りを見てみましょう(ここでは長期国債に言及します)。

当然のことながら、債券の方がトータルリターンは低いですね。

株式同様、1966-1981はマイナス4.2%のパフォーマンスです。

そして、その前の1946-1965もマイナス1.2%のパフォーマンスです。

ここで注目したいのは、債券のトレンドです。

株式では、超長期である1802-2006と1871-2006、歴史区分上の1802-1870、1871-1925、1926-2006のいずれにおいても、安定したパフォーマンスを残しています。

それに対しては債券は、意外なことに超長期と歴史区分上の相当な長期間(第Ⅰ期、第Ⅱ期、第Ⅲ期)においても、株式に比べるとパフォーマンスが安定していません。

債券の方がリスク(標準偏差)は低いにも関わらず、です。

つまり、あくまでもバックミラーではあるけれど、現在の債券価格が過剰に評価されており、そのトレンドが明日にでも反転し、それが向こう何十年と続く可能性がある、ということです。

第2章 リスク、リターン、資産配分長期では株式のリスクが債券より小さい理由

第2章では一点だけ重要な点を論じます。

下の図は、株式と債券の相関係数を示しています。

一般的に株式と債券は負の相関が成り立つ、と言われています。

事実、過去20年はそうでした。しかし、この図を見ても分かるとおり、1997年以前は正の相関が成り立っています。

シーゲル博士はその理由をこう述べています。

1920年代から1930年代はじめは、金本位制のもとで景気の悪化が物価の下落と結びついていた。したがって、1930年代に起きた大恐慌では、景気悪化とともに株価が下落するなかで、国債の価格が上昇したのである。
しかし、管理通貨制へ移行すると、景気の悪化はデフレではなくインフレを伴うようになる。これは、景気の悪化を食い止めようとして、政府が金融緩和策をとるようになったことに起因する。1970年代を見てもわかるとおり、このような政策はインフレ率に上昇を引き起こし、実態経済を弱体化させる。

(中略)

1997年から2001年にかけて、世界全体と各国経済はアジア通貨危機による混乱に振り回され、日本はデフレに苦しみ、そして9・11同様多発テロが起こった。通貨の暴落と商品価格の下落は、デフレが支配していた1930年代の状況に恐ろしいほど似通っており、国債が唯一の金融資産として重視された。結果として、株式と米ドル以外の通貨が急落したとき、世界中の投資家が米国債に資金を非難させた。米国の長期国債は、株式相場の暴落を恐れる投資家にとって格好の資金の退避先となったのである。

多くの人は、アセットアロケーションを設定する際、ネット上に存在するツールを使ってシュミレーションをしますが、これを読む限り、これらのツールに過剰な期待を寄せるのが危険であることが分かります。

ここで、一点注意したいのは、長期投資における債券不要論です。

第1章、第2章を読む限り、債券がパフォーマンスの大きな足かせになっていることが分かります。

しかし、第2章にも書かれていますが、効率的フロンティア(現代ポートフォリオ理論)の観点からは、一定程度債券を組み込むことが有用であることが分かります。

パフォーマンスが悪いからと言って、債券に目を向けないのも短絡的な思考です。

投資を成功させるにはどうすれば良いのか?

最後に、投資で成功するにはどうすれば良いのか?という実践論を紹介して終わりにします。

シーゲル博士はこう述べています。

株式で良好な利回りを達成するには、長期的な目標確固たる投資戦略が必要である。

そして、次の6つのポイントを列記しています。

  1. 自らの期待を過去の範囲内にとどめること。過去のデータでは、200年間のインフレ調整済み株式利回りは6.8%で、株価収益率(PER)平均は約15倍で売られている。
  2. 株式利回りは短期よりも長期のほうがはるかに安定している。時を経るにつれ、株式は債券と異なり、投資家にインフレ上昇分を埋め合わせてくれる。それゆえ、投資家の保有期間が長くなるほど、総資産のより多くの割合を株式に投資すべきである。
  3. 株式ポートフォリオの大部分を、国際分散した低コストの株式指数ファンドに投資すること。
  4. 株式ポートフォリオの少なくとも3分の1を国際株、すなわち米国以外の国を本拠地とする株式に投資すること。高度成長の国の銘柄は過大評価され、投資利回りもよくないことが多い。
  5. 過去の利回りに基づくと、割安株ーPERが低く配当利回りの高い株ーは成長株よりも高利回り低リスクである。割安株のインデックスファンド、あるいは最近登場したファンダメンタル加重平均のインデックスファンドを購入して、パッシブ運用のポートフォリオを構築することで価値を追求すること。
  6. 最後に、自分の気持ちに負けそうであるなら、ポートフォリオを予定どおり運用するための確固たるルールを確立すること。市場についてひどく不安に感じるときは、落ち着いて、第1章と第2章をもう一度読み返してほしい。

投資とは結局のところ、自分との戦いなんだろうと思います。

皆さんも、投資に迷いが生じたのなら、本書を手に取り何回も熟読しましょう。

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億り人を目指すサラリーマン日記 -Investment Strategy:US Stock×iDeCo-

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