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【書評】ベルリン陥落1945ー狂気の独裁者が両国にもたらした地獄のフィナーレを描くー

同士兵士諸君、ぜひとも諸君にお願いしたいことがある。どうか教えてくれ、なぜ諸君はドイツの監獄から出てきたロシア人を殺しているのだ?われわれはたまたま捕虜になった。そしてやつらの連隊で働かされた。飢え死にしなくないから、まじめに働いた。いま、こういった連中が、たまたまロシア軍に、味方の軍隊に戻ってくると、諸君らは彼らを射殺する。どんないわれがあってのことか、とわれわれはたずねたい。1941年と1942年ソ連司令部が彼らを裏切ったからではないのか?

ードイツ軍に勤務したロシア人捕虜の手紙ー

著者は1946年生まれのイギリス人作家、アントニー・ビーヴァー。氏は5年ほど軍務経験のあるベストセラー作家です。

本書は、ドイツ、ソ連両者の一般人から著名人まで、広く一次資料を拾い上げ、独ソ戦の最終局面であるベルリンの包囲から陥落までを叙述しております。

独ソ戦はヒトラーとスターリンという狂気の独裁者同士がぶつかり合った、空前絶後の戦争でした。

独ソ戦の前半は、圧倒的なドイツ軍の攻勢に、ソ連の街や村、畑、人が文字通り「蒸発」し、再起不能と思われるまで叩きのめされました。

が、アメリカからの物資援助などもあり、スターリングラード攻防戦を境にその立場が逆転します。

このような状況ですから、ソ連側から見れば「ドイツに対しては何をやっても構わない」という空気感が醸成されます。

その空気感はソ連の指導者層から一兵士にまで蔓延していました。

日々を数えるな。距離を数えるな。もっぱらきみが殺したドイツ兵の数を数えよ。ドイツ人を殺せーこれがきみの母の祈りだ。ドイツ人を殺せーこれがきみのロシアの大地のさけびだ。ためらうな。やめるな。殺せ

ーソ連共産党の宣伝文ー

そのような状況下でのベルリン包囲です。

徹底的な略奪、暴行、虐殺、レイプ。何でもありです。

ドイツ側でも、SS(親衛隊)による脱走兵の処刑などの蛮行が繰り広げられ、そしてソ連側でも、冒頭の引用のとおり、味方の捕虜の処刑が行われます。

どこに行っても救いようのない地獄が記述されています。

また、スターリンがベルリンなど重要ではない、とたぶらかし、米英両国を欺いていく様も描かれています。

この本を読めば、日本がすんでのところで本土決戦を避けられたことについて、心底良かったと思うはずです。

アントニー・ビーヴァーの著作ではこちらもオススメします。

Go For Broke!

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